美術品の減価償却資産について
平成27年度から、美術品等(絵画や彫刻等の美術品のほか工芸品などが該当)が減価償却資産に該当するかどうかの範囲が改正されました。
●減価償却資産に該当するかどうかの判定
「時の経過によりその価値の減少しない資産」は減価償却資産に該当しないこととされており、次の美術品等は「時の経過によりその価値の減少しない資産」として取り扱われます。
1、古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの。
2、上記1以外の美術品等で、取得価額が1点 100 万円以上であるもの。(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く。)
と記されています。
つまり、歴史的価値を有し代替性のないものに該当しない100万円未満の美術品等であれば、「減価償却資産」として該当致します。
また、先にも書いてありますが、100万円以上の美術品等でも、“時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの”については、「減価償却資産」に該当致します。例えば、不特定多数の人が利用する場所の装飾用などに法人が取得するもののうち、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであり、かつ、他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものは「減価償却資産」と取り扱う事が可能です。
絵画作品の場合、耐用年数は、室内装飾品で金属製以外のものとなりますので、耐用年数は8年となります。因みに金属製ですと15年です。
以下、国税庁のホームページに分かりやすいFAQが御座いますので引用致します。
※国税庁ホームページから引用
【Q1】今回の通達改正の内容はどのようなものですか。
【A1】改正前の通達の取扱いでは、1美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る作品であるか、2取得価額が1点20万円(絵画にあっては号当たり2万円)以上であるかにより、美術品等が減価償却資産に該当するかどうかを判定していました。しかしながら、美術関係の年鑑等は複数存在しその掲載基準がそれぞれ異なるのではないか、また、20万円という金額基準は減価償却資産かどうかを区別する基準としては低すぎるのではないかといった指摘があったため、美術品等の取引価額の実態等についての専門家の意見等を踏まえ通達の改正を行いました。改正後の通達では、取得価額が1点100万円未満である美術品等は原則として減価償却資産に該当し、取得価額が1点100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産に該当するものとして取り扱うこととしました。なお、取得価額が1点100万円以上の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当する場合は、減価償却資産として取り扱うことが可能です。(注)取得価額が1点100万円未満の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの」は、減価償却資産に該当しないものと取り扱われます。
【Q2】取得価額が1点100万円以上である美術品等は原則、非減価償却資産ですが、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」は、その取得価額が100万円以上であっても減価償却資産と取り扱うこととされています。「時の経過によりその価値が減少することが明らかな」美術品等とは、具体的にはどのようなものが該当しますか。
【A2】取得価額が1点100万円以上である美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」として減価償却資産に該当するものとしては、例えば、次に掲げる事項の全てを満たす美術品等が挙げられます。
1、会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として取得されるものであること。
2、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであること。
3、他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものであること。なお、この例示に該当しない美術品等が「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当するかどうかの判定は、これらの事項を参考にするなどして、その美術品等の実態を踏まえて判断することになります。
【Q3】絵画や彫刻などの美術品等で減価償却資産に該当するものの法定耐用年数は何年ですか。
【A3】減価償却資産に該当する美術品等の法定耐用年数は、それぞれの美術品等の構造や材質等に応じて、耐令の別表第一に掲げる区分に従って判定することとなります。例えば、その美術品等が「器具及び備品」の室内装飾品に該当する場合には、次のとおりとなります(法令13、耐令別表第一)。
(1)室内装飾品のうち主として金属製のもの 15年 例えば、金属製の彫刻
(2)室内装飾品のうちその他のもの 8年 例えば、絵画・陶磁器・彫刻(主として金属製のもの以外のもの)
【Q4】絵画を購入した場合、その絵画の額縁は美術品等の取得価額に含まれますか。このほか、美術品等の取得価額に含まれるものには、どのような費用がありますか。
【A4】一般的に、額縁はその絵画の一部として取得価額に含まれるものと考えられます。また、購入した減価償却資産の取得価額は、当該資産の購入の代価と当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額となります。この当該資産の購入の代価とは、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等その資産の購入のために要した費用をいい、当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額には、例えば、据付費等が該当しますので、これらの費用が美術品等の取得価額に含まれることになります(法令541)。
【Q5】建物のエントランスや会議室、役員室に展示している美術品等は、事業の用に供しているものと考えられますが、現在、展示を休止して倉庫等に保管されている美術品等は、事業の用に供していることにならないのでしょうか。
【A5】減価償却資産に該当する美術品等が装飾や展示に用いられている場合には、通常、事業の用に供しているものと考えられます。お尋ねのように、倉庫等に保管され現在展示を休止している美術品等であっても、その休止期間中必要な維持管理が行われており、いつでも展示可能な状態にあるものについては、事業の用に供していることになります(法基通7-1-3)。
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