棟方志功がご存命中、お世話になった方々や、お祝いなどの際に、作品を差し上げていたことが多くあります。
ただで頂いたものだからと、高価なものと思わず飾りっぱなしの作品や、反対に、大変大切な作品だからと、押し入れの奥にしまいっ放しになっている作品もあるのではないでしょうか。
1980年代後半から1990年初頭にかけてのバブル景気、土地も株も、なんでもかんでも高かったような時代、多くの美術品が非常に高くなっていました。 需要も非常に旺盛で、デパートでの個展時など、開店10分後には、数十点もある作品が完売しているという様な事も珍しくありませんでした。 その頃に比べると、現在は、棟方志功作品を含む近代美術の作品類の相場価格は、大きく下がっている作品類が多くなっています。 購入時期や、購入された場所にもよりますが、購入価格の1割に満たない作品類も多いのではないでしょうか。
棟方志功作品の相場価格に限って申し上げますと、 先にあげたバブル景気時の極端に金額が上がってしまっていた時期を除くと、比較的堅調な相場が続いています。 相続された作品の購入時期により、現在の相場価格との乖離はある程度予想できます。
ほとんど価値のない作品だと思っていたものが、現在の相場価格は数百万円以上する作品だったり、反対に、数百万円で買った作品が、現在は十万円程度の相場価格になっていたり、この様な事例が多分にあります。
高額だと聞いていて相続税の心配をしていた作品が、きちんと調べてもらった結果、ほとんど評価が付かない作品で相続申告さえ必要がなかったという様な案件が、今のところ一番多い様に感じます。