片岡球子の代表作の魅力と評価について~人気シリーズをご紹介します~

片岡球子 代表作 めで多き富士

片岡球子の代表作の魅力・人気のポイント

片岡球子の代表作といえば一番に「富士」を思い浮かべる方がほとんどではないでしょうか。「富士」というモチーフに、鮮やかで目を引く色彩と、ダイナミックな構図で、見る人に力を与えてくれるような吉兆な作品として非常に人気が高いです。富士は様々な色で描かれていますが、特に「赤富士」と「青富士」が代表的です。

続いて、片岡球子の代表作として「面構(つらがまえ)」シリーズも人気があります。武将や浮世絵師、仏僧たちといった歴史上の人物の肖像を描いたこちらのシリーズは、1966年から描き始められ、38年間で40点以上の作品が制作されました。「富士」と並ぶ片岡球子を象徴する作品といえます。

代表作①「富士」

驚いたことに、片岡球子が代表作である「富士」を題材に描き始めたのは50歳を過ぎてからのことです。タイミングとしては小学校の教師を定年退職し、画業一本で活動するようになってからのことでした。片岡球子は2008年の103歳でその生涯を閉じるまで、山を描き続けました。富士以外にも、各地を旅することで出会った山々を描きました。自然という、人間の力ではどうにもならないその壮大さや力強さ、そして神秘的な魅力を山の作品から感じ取ることができます。

片岡球子 代表作 めでたき富士

その中でも「富士」の作品は輪郭線が太く、赤や青などの原色を配して画面に大きく描かれており、また手前に配置された麓や花たちも、富士を彩るというよりかは富士の風格に負けないほどの存在感を放っています。作品の画面全体から湧き出るようなオーラに、見る人の心は惹きつけられてしまうのです。

代表作②「面構」

「面構」の作品を描き始めたのは60歳を過ぎてからのことでした。1966年に愛知県立芸術大学の日本画科主任教授に就任した片岡球子は、若い学生たちと共に「新しい日本画」を志す決意表明を込めて「面構」作品の制作を開始しました。

片岡球子 代表作 面構 足利尊氏

最初の1枚は将軍・足利尊氏を描き、最終的には義満・義政と三将軍の作品を制作しました。また浮世絵師や水墨画作家を題材とした作品では、背景に絵師や作家たちの代表作を描くという斬新な発想で唯一無二の存在感を放つ作品を制作しました。色使いや構図からは、歴史上の人物に対する片岡球子の解釈が見て取れる大変興味深いシリーズです。

片岡球子の代表作の評価と価格

片岡球子の代表作である「富士」や「面構」の価格について説明します。まず片岡球子の作品と一口に言っても、様々な制作技法が存在しています。片岡球子本人が直接手を使って描いた一点ものの作品、いわゆる「本画」や、またはその片岡球子の本画作品をもとに版画工房にて制作された「版画」が存在しています。花田美術では片岡球子の本画作品を取り扱っており、その評価と価格について説明します。

片岡球子 代表作 富士に献花

まず「富士」の作品に関するオークションデータを遡ってみると、2023年7月29日開催の毎日オークションに出品された富士の作品は、20号の青富士が580万円、8号の赤富士が630万円で落札されており、また2023年4月29日のオークションでは8号の紫を基調とした色彩の富士が210万円、最後に2021年10月30日のオークションでは10号弱サイズの富士が描かれた色紙が75万円という結果が出ています。以上のことから同じ富士の作品でも、色使い・構図・サイズ・素材等の様々な要素により、その評価や価格に違いが出ていることが分かります。

片岡球子 代表作 喜多川歌麿

次に「面構」のオークションデータについて調べてみたところ、過去15年間のデータを遡ってみても出品歴はたったの1点という少なさでした。具体的な内容としては2015年7月4日、毎日オークションにて「面構十三人衆内 国芳」という20号の作品が900万円で落札されていました。その価値は高いものの、世の中に約40点しか存在しないということもあり、なかなか市場に出回る機会が少ない作品となっています。展覧会で展示されるような際には、一度は見ておきたい作品です。

片岡球子の作品が評価されるようになったきっかけ

片岡球子 代表作 学ぶ子

片岡球子は日本芸術院賞・恩賜賞受賞(1975年)、勲三等瑞宝章受章(1976年)、文化功労者顕彰(1986年)、文化勲章受章(1989年)といった受賞歴や表彰歴を持ち、晩年には上村松園・小倉遊亀に続いて日本三大女流画家として称されていました。そんな彼女の103年の人生は華々しいものだったと確信している人は多いことと思います。しかし片岡球子が画家として活動する中で、その道のりは決して平坦ではありませんでした。

幼い頃から絵を描くことが好きだったという片岡球子は、親からの反対を押し切って18歳の時に女子美術学校へ入学し、本格的な画家としての人生をスタートさせました。大学卒業後は小学校で教鞭をとりながら、同時に画業を続けていました。20代のうちに院展での入選を果たすものの、その後は落選が続きます。今でこそ片岡球子らしいと評価されているその烈々たる色使いと大胆な構図を用いた力強い作風は、その当時は「ゲテモノ」と批評され、また「落選の神様」と呼ばれる苦しい時期もありました。

片岡球子 代表作 海(真鶴の海)

そんな片岡球子が徐々に評価され出すのは40歳前後の頃です。1939年の第26回院展にて出品した「緑蔭」で”院友*1”に推挙されます。これをきっかけとし、横山大観や小林古径、前田青邨らに認められるようになります。その後は定期的に入賞するようになり、1952年には日本美術院賞と大観賞を受賞し”同人*2”に推挙されました。

緩やかに、しかし確実に経歴を積み重ねてきた片岡球子ですが、1955年の50歳の時に転機を迎えます。これまで30年近くにわたって勤めてきた小学校教師を定年退職します。これにより絵画の道一筋となった片岡球子は更なる画業の資質を開花させます。50歳をすぎてから「富士」を、60歳をすぎてから「面構」といった代表作を生みました。結果的に名誉ある賞を多数受賞し、女流画家 片岡球子としてその名を日本美術業界に轟かせましたが、百折不撓する中も諦めずに絵を愛し続けた彼女だからこそ成し遂げられたことだったのです。

*1 院友:日本美術院の作家区分の一つで、院展にて3回入選すると推挙されます。
*2 同人:公募展の審査や賞の決定、また同人の推挙等の日本美術院の運営に携わります。作家区分の中で、最高位の称号です。

片岡球子の代表作の評価・価格について知りたい場合

片岡球子の「富士山」や「面構」といった代表作をお持ちで、現時点での評価や価格を知りたい場合は、画廊などの買取業者へ査定依頼をすることで具体的な金額感を把握することができます。売却以外にも、作品の評価や価値を知っておきたいというケースがあります。

例えば、終活の一環として「現在の作品の価値を確認し、子供や孫に伝えておきたい」ということや、反対に「相続したものの価値が分からず、相続税を納めなければいけないのにどうしたら良いか分からない」というようなことが挙げられます。そのように考えられている方は、お近くの信頼できる買取業者に一度ご相談されることをおすすめします。

すぐに売却する場合でなくとも、最新の相場感を把握しておくことは、今後お持ちの美術品をどうしていくかということを考える上で必ず助けになります。花田美術では終活のための査定や、相続における査定書作成等も承っております。お気軽にご相談くださいませ。

花田美術は片岡球子作品の査定・買取に力を入れています

花田美術では1983年に創業して以降、40年以上にわたって片岡球子作品を取り扱ってきました。年間、業者間のオークションには150件以上参加しており、その他にも国内最大規模の公開オークション会社である毎日オークション、海外オークションではSotheby’sやChristie’sといった主要オークション会社とのお取引があります。従いまして片岡球子作品に関する情報や相場変動をリアルタイムで把握しており、最新の情報をお客様にお話しできるよう努めております。

片岡球子 代表作 花田美術 銀座

花田美術では片岡球子作品の査定・買取はもちろんのこと、所定鑑定機関への鑑定代行や、相続における査定書作成等も承っております。まずはお気軽にお電話またはお問合せフォームよりご相談ください。

電話番号 03-3289-0668

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片岡球子作品についてもっと知りたいなら

片岡球子作品は以下に所蔵されています。
東京国立近代美術館 
京都国立近代美術館 

東京国立近代美術館には今回ご紹介した「面構」の作品「歌川国貞と四世鶴屋南北 (1982年)」が所蔵されており、屏風4曲1隻の大作を見ることができます。直近では、2023年に岩手県立美術館や北九州市立美術館にて展覧会が開催され、面構シリーズの特集がされました。片岡球子の代表作をもっと見たい方、また知りたい方は、ぜひ美術館や百貨店、画廊などで行われる展覧会の情報をご確認ください。