横山大観の作品の値段はどのくらい?市場での評価とその理由を解説

横山大観の作品価格の相場について

現在横山大観は、日本画の巨匠として最も評価が確立・安定しているといっても過言ではありません。市場で非常に高い需要がある一方で、同じ横山大観の作品だったとしても、各作品の絵柄や技法などの様々な要素によって値段に大きな幅があります。

本記事では具体的にどのような点が作品の値段に影響してくるのかということを詳しく解説します。

過去のオークション等の結果から見る作品の値段について

横山大観の作品は、その種類によって市場での価格が大きく異なります。大きく分けると、以下の3つの種類に分類されます。

  1. 肉筆画(日本画)
  2. 素描
  3. 版画(木版画・リトグラフなど)

市場での取引価格の高い順に並べると、「肉筆画 > デッサン > 版画」 となります。特に肉筆画は、数千万円から数億円の価値がつくこともあり、大観の作品の中でも最も高額で取引されています。

素描は肉筆画に比べると廉価ですが、それでも数百万円以上になることが多い。一方、版画は比較的入手しやすい価格帯で取引されることが一般的ですが、限定部数のものや保存状態が良いものは高値がつくこともあります。

横山大観の作品の査定ポイントについて

美術品というものは、同じ作家の作品だったとしても1点1点の評価が異なります。横山大観の作品に関しても同様で、各作品の図柄や出来や技法、コンディションや鑑定登録の有無など、様々な要素により査定金額が変わります。例え同じモチーフ、同じサイズだったとしても一概にいくらと算出できないところが、美術品の難しいところです。

以下では、実際に買取業者が作品査定の際に確認している事項について、横山大観作品ならではのポイントも交えながらご説明します。

人気のある図柄かどうか

横山大観の作品というと、どのような作品を思い浮かべるでしょうか。恐らく多くの方が「富士」や「海暾(かいとん)」といった縁起の良い風景画が脳裏に浮かんだことと思います。これはどの作家に関しても言えることですが、作家名を聞いてすぐに紐づくような図柄は人気が高く、その人気に比例して値段も高くなる傾向にあります。横山大観が生涯で描き上げた富士作品の点数は1,500点にも上るといいます。ただ、富士の作品と一口に言ってもその1,500点が全て同じくらいの値段ということではなく、作品の持つ様々な要素によって評価が異なってまいります。

鑑定登録がある

横山大観作品に関わらず美術品の評価において、「鑑定登録」の有無は極めて重要な要素です。鑑定登録は、その作品が真作であることを裏付ける一つの指標となります。しかし、登録内容が必ずしも真正であるとは限らず、真贋の最終的な判断には作品の実物を専門家が直接確認する必要があります。それでもなお、鑑定登録がある作品は、真作である可能性が高いと認識され、美術市場において高い信頼を得ることができます。

特に次の購入者にとっては、鑑定登録の有無が購入判断に直結します。信頼性が担保された作品であることは、購入者に安心感を与えるだけでなく、市場での価値を高める要因にもなります。そのため、美術商は作品を買取る際、必ず鑑定登録の有無を確認することが一般的です。

横山大観の作品の場合、横山大観記念館(公式ウェブサイト)が所定鑑定機関として鑑定を行っています。なお花田美術では、作品の売却査定をご希望されるお客様に対し鑑定代行サービスも承っております。お気軽にご相談くださいませ。

人気の高いモチーフや出来が良いかどうか

同じモチーフの作品だとしても、個々の作品により評価が大きく異なるということについて、特に作品の出来やコンディションが最も影響してくるといっても過言ではありません。

評価が高くなる傾向にある作品のポイントは以下です。

①「朦朧体」の表現が見られるかどうか

横山大観の代表的な技法として「朦朧体」という表現方法があります。絵の中で輪郭線を明確にせず、柔らかい色味のぼかしで構成される技法で、神秘的で幻想的な雰囲気を醸し出します。この表現で描かれた富士山をはじめとした風景画は静謐で詩的な美しさを持ち、人気が高いです。

②霊峰としての荘厳な構図であるか

横山大観は、代表作「霊峰不二」をはじめ、富士山を題材にした作品を数多く制作しました。大観の富士山作品は、日本画の伝統と彼自身の革新的な技法が融合したものであり、その荘厳さと威厳が高く評価されています。

富士山は日本文化の象徴的存在として、古来より多くの芸術家に愛されてきました。その完璧な円錐形や四季折々の移ろいゆく表情は、日本の自然美を象徴するモチーフとして、絵画の題材としても非常に人気があります。また、縁起の良さでも知られ、「一富士二鷹三茄子」に代表されるように、幸福や繁栄を象徴する存在として日本人の生活や心に深く根付いています。

横山大観の作品と、日本画を代表するモチーフである富士山の組み合わせは、日本画愛好家やコレクターにとって極めて魅力的なものです。大観は自身の代表的技法である「朦朧体」を駆使し、富士山の神秘性や霊的な側面を引き出すことで、日本画の新たな境地を切り開きました。このような要素が結びついた横山大観の描く富士山は、単なる風景画ではなく、日本文化や精神性そのものを体現する芸術作品としての価値を持っています。

上記2点のポイントを踏まえると、大観が描く朦朧体の表現が見られる富士山作品は美術市場において高い需要を誇り、その希少性と芸術的価値からも、コレクターにとって重要な収集対象となっています。

来歴(プロヴェナンス)や図録等の所載物がある

横山大観に限らず、美術品を売却する際にその価値を左右する重要な要素の一つとして「来歴(プロヴェナンス)」と「所載物の有無」が挙げられます。これらの情報が明確であればあるほど、作品の信頼性が高まり、市場での評価や取引される値段にも大きく影響します。

まず来歴(プロヴェナンス)とは、その美術品が過去にどのような所有者のもとを経てきたのかを示す履歴のことです。例えば、有名なコレクターや美術館、画商を通じた作品であれば、その真贋の信頼性が増します。反対に来歴が不明な作品は、いかにその作品が優れたものであっても市場での評価が下がる傾向にあります。

具体的に、来歴を証明するものとしては以下のような資料が挙げられます。

・画廊・オークションハウスの販売証明書

・過去の展覧会の出品記録

・旧所有者(著名なコレクターなど)の購入記録

・作品に関する古い写真や手紙

次に所載物とは、作家の画集やカタログレゾネ、展覧会図録などのことを指します。特に、カタログレゾネ(作家の作品を網羅的に収録した資料)に掲載されている作品は、真正性が高く評価され、取引の値段も上がる傾向にあります。

横山大観の作品の売却方法について

横山大観作品の売却する際、売却方法は大きく分けて3つ、①買取 ②委託販売 ③オークション出品という方法があります。

① 買取

持ち込み等で買取業者に作品査定と金額を提示してもらい、その場でお支払いする方法。

メリット:換金スピードが最も早い

デメリット:売却の値段が低い

② 委託販売

お客様が希望した委託金額(手取り金額)を元に買取業者が販売活動をする方法。

メリット:お客様の希望の金額で売却することができる

デメリット:換金スピードが遅い。すぐ売れるとは限らず、一般的に最低でも3ヶ月以上、長い場合は数年かかる可能性がある。

③ オークション出品

買取業者が作品に適したオークションを選定し、オークションを通じて販売する方法です。

メリット:複数の入札者が競り合うことで、相場を超える高値で落札される可能性がある。

デメリット:落札されなかった場合、その記録がインターネット上に残り、作品の市場価値に影響を与えることがある。

横山大観の作品売却の際に気を付けておくポイント

横山大観の作品を売却する際に、お客様ご自身で特に注意していただきたいのは、買取を依頼する画廊や業者の信頼性です。

もちろん、鑑定証書の有無や来歴などの詳細な情報は多ければ多いほど評価が高まります。 しかし、それと同じくらい重要なのが、適正な価格で取引し、誠実な対応をしてくれる買取業者を選ぶことです。

複数の業者に査定を依頼する

買取を依頼する際は、一社だけでなく、複数の業者に査定を依頼することをおすすめします。 画廊によって査定基準や販売ルートが異なるため、提示される価格に差が出ることがあります。

また、事前に以下のような方法で、その画廊や業者の信頼性を確認すると良いでしょう。

・ホームページやSNSで業者の雰囲気や実績を確認する

・画廊が開催する展覧会に足を運び、実際の活動を知る

買取時のチェックポイント

買取を依頼する際には、相場や鑑定証書の有無、修復の必要性などについて具体的な質問をしてみてください。 その際、誠実かつ専門的な対応ができるかどうかを確認することが重要です。

特に、以下のポイントを意識すると良いでしょう。

・適正な市場価格を提示しているか

・鑑定証書や所載物の重要性について十分な知識を持っているか

・修復や保存状態について的確なアドバイスができるか

最後に重要なのは、買取業者の対応が誠実であり、お客様自身との相性が良いかという点です。お客様の大切な美術品を託す相手として、安心して取引できる業者を選びましょう。

横山大観とは

『讃春』水野美術館蔵

横山大観は、明治から昭和にかけて活躍した日本画の巨匠であり、その生涯を通じて日本画の革新と伝統の融合に取り組みました。茨城県水戸市に生まれた大観は、東京美術学校(現・東京芸術大学)の第1期生として橋本雅邦や岡倉天心に学びました。1898年には岡倉天心とともに日本美術院を設立し、近代日本画の基礎を築きます。大観は国際展覧会での出品や帝展の審査員を務めるなど、日本画の国際化と後進の育成にも尽力しました。1954年には文化勲章を受章し、その功績が認められています。大観作品は現在も国内外で高い評価を受け、美術史において不動の地位を占めています。

横山大観の作風とは

横山大観の作品は、日本画の伝統と彼自身の革新的な技法が融合したものであり、その荘厳さと威厳が高く評価されています。

大観は代表的技法である「朦朧体」を駆使し、富士山をはじめとして日本風景の神秘性や霊的な側面を引き出すことで、日本画の新たな境地を切り開きました。このような要素が結びついた横山大観の描く富士山は、単なる風景画ではなく、日本文化や精神性そのものを体現する芸術作品としての価値を持っています。

横山大観作品の売却なら、40年以上の実績を持つ花田美術へ

花田美術は1983年の創業以来、40年以上にわたり横山大観の作品を取り扱ってまいりました。私たちは公開オークションだけでなく、業者間オークションにも年間150回以上出席しており、これまで数多くの横山大観作品を拝見してきました。

美術品の売却方法は、作品や市場の状況によって最適な選択肢が異なります。同じ作家の作品であっても、市場の動向や作品の特徴によってベストな売却方法が変わるため、慎重な判断が求められます。

花田美術では、お客様がお持ちの横山大観作品の特性を見極め、ご希望に沿った最適な売却方法をご提案いたします。メール・お電話・郵送など、お客様にとって便利な方法でお気軽にお問い合わせください。長年の経験と知識を生かし、丁寧にサポートさせていただきます。

株式会社 花田美術

東京都中央区銀座6-3-7 アオキタワー1F

昭和58年創業、東京美術倶楽部(東京美術商協同組合)所属

電話番号 03-3289-0668

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